LinkArchiScape サイトより
本展では、京都の特徴ある建築空間を会場に、6名のアーティストによる展覧会を開催します。
通常、作品は美術館やギャラリーといったホワイトキューブで展示されることが一般的ですが、本展では、安藤忠雄氏が設計した世界初の屋外絵画庭園である「京都府立陶板名画の庭」や竹内緑氏が設計した「重信会館」といった建築の内部に作品を展示することで、アート作品と建築が対話する空間を生み出します。
従来とは異なる視点から建築を見つめ直し、作品を通じて建築そのものに新たな発見をもたらすと同時に、建築空間に置かれた作品もまた、その空間との関係性によって、新たな視点や解釈が引き出されていきます。
「かたちの記憶 Memory of Forms」
本展で展示しているシリーズ Mary Had a Little Lamb)は、日本の小笠原諸島・父島に残された壕を撮影し、そこに移められた「核の記憶」を辿る試みです。ここ、重信会館(1930年(昭和5年)に竣工)とほぼ同時期に旧日本軍によってこの壕は建設されました。第二次世界大戦後、父島は米軍によって23年間占領され、冷戦期を含む1950年代-60年代にかけて、この壕には核弾頭が密裏に貯蔵していました。
長沢が撮影した核弾頭が収められていたその壕には、童謡にちなんだ「Mary Had a Little Lamb(メリーさんの羊)」という名がつけられていました。広島に投下された「Little Boy」や長崎の「Fat Man」と同様、無邪気さを装ったその名には、倫理への無自覚さや人間の恐ろしさが透けて見えるようでもあり、私たちに考える余地を残しています。
長沢は2008年から父島に通い続け、前シリーズThe Bonin Islanders)では占領下で帰島を許された、欧米糸島民の子孫たちの姿を記録しました。今回展示している本シリーズはその延長に位置づけられ、証言や調査を手がかりに閉ざされた空間に足を踏み入れ撮影・制作されたものです。
写真に写る、白く塗られた壁、腐食した銅板、重く錆びついた鉄扉。核弾頭を貯蔵していた施設そのものは今や虚ろですが、そこには時間と記憶が存在し、写真を通して静かに立ち現れます。写真は目の前のものしか写すことができません。しかし展示している作品からは、忘れ去られた、あるいはそもそも知られることのなかった出来事の影に潜む記憶を呼び覚まし、戦後80年が経過した今、未来に向けて継承するべきものは何かを問いかけています。
同時期開催で
DELTA / KYOTOGRAPHIE Permanent Space
にて「The Bonin Islanders」を展示いたします。
こちらも是非ご覧下さい。



